一人暮らしでは、大量に作って保存できるカレーはお助けメニューです。
カレーが続くと飽きるという人もいますが、カレー好きにとっては全然苦にならないものです。
お家でカレーを作る一番の楽しみは2日目にやってきます。
そう、2日目の熟成カレーです。
私なんて、夜遅くに作って、その日は食べないことだってあります。
ところが先日、2日目のカレーをこよなく愛する人間にとって大変ショッキングなことが起こりました。
世田谷の幼稚園で、前日に調理しておいたカレーを食べた園児や職員の方が食中毒を起こしてしまったのです。
発生したのは3月、暑い時期などではありません。
じっくりコトコト煮込んだはずのカレーで食中毒が起こるというのは意外な感じがしませんか?
ところがコレ、結構簡単に起こってしまうらしいのです。
食中毒を起こした犯人は「ウェルシュ菌」です。
ウェルシュ菌とは、
人や動物の腸管、土壌、水中など自然界に広く分布し、ボツリヌスと同じ酸素を嫌う嫌気性菌です。
この細菌は熱に強い芽胞を作るため、高温でも死滅せず、生き残ります。したがって、食品を大釜などで大量に加熱調理すると、他の細菌が死滅してもウェルシュ菌の耐熱性の芽胞は生き残ります。
出典:東京都福祉保健局
何ということでしょう、高温でも死滅しない菌なんです!
100度でも1~6時間生存することができて、12~50度では増殖してしまいます。
ということは、常温は菌にとって快適な環境なので、せっせと増殖するわけです。
主な症状としては腹痛や下痢で、ほとんどの場合は1~2日で回復。
食中毒の症状としては重いものではありません。
ただ、小さい子どもや高齢者の方は症状が強くなることがあるようなので、やはり気を付けなくてはいけませんね。
それでは、ウェルシュ菌による食中毒を起こさないために気を付けるべきことをまとめます。
保存は小分けで、常温での保存は絶対にダメ
ウェルシュ菌は12~50度なら増殖し、特に43~45度でもっとも増殖します。
つまり、常温でゆっくり冷ましてしまうと…大変なことになります。
大切なことは急速に冷ますことです。
ウェルシュ菌は嫌気性菌で酸素が苦手なので、できるだけ酸素に触れるように浅いプラスチック容器などを使って小分けにして冷蔵庫で冷ましましょう。
温め直しはレンジではなく鍋でしっかりと
ウエルシュ菌による食中毒というのは、ウエルシュ菌が小腸内で増殖して芽胞(がほう)を形成するときに、「エンテロトキシン」という毒素を産生することで起こります。
このエンテロトキシンは、60度で10分間加熱することで不活化させることができるので、鍋に移してしっかり加熱しましょう。
このときよくかき混ぜて、できるだけ全体がまんべんなく酸素に触れるようにしてください。
カレーだけじゃない! 他にも気を付けるべき料理が…
ウェルシュ菌による食中毒はカレーだけで発生するわけではありません。
肉や魚介類、野菜を使って大量に調理するときに発生しやすくなります。
つまり、汁物や煮物など、大量に作った方が美味しいものは特に気を付けなくてはならないということです。
カレーと同様に常温で保存するのではなく、できるだけ早く小分けして冷蔵庫に移すようにしましょう。
ウエルシュ菌による食中毒は一年中いつでも起こる可能性があります。
せっかく作った料理で体調を崩してしまわないように、保存方法には気を付けたいですね。